2026年12月25日、子ども性暴力防止法(通称・日本版DBS法)が施行されます。「うちは学校じゃないから関係ない」と思ったら要注意です。特に中学生以下の子どもを預かるスポーツ団体、そして部活動地域展開の受け皿を目指す団体には、直接影響のある法律です。
どんな法律か
こども家庭庁が所管する法律で、児童等に教育・保育を提供する事業者に対し、従事者による児童対象性暴力等を防止する措置を義務づけるものです。「児童等」には18歳未満の未成年者まで含まれます。
対象事業者は2種類に分かれます。
- 義務(学校設置者等):学校、児童福祉施設等
- 任意(民間教育保育等事業者):学習塾、放課後児童クラブ、認可外保育施設等——スポーツクラブもここに含まれます。国の認定を受けて措置を実施する認定制
求められる安全確保措置
認定を受ける事業者には、次のような措置が求められます(一部抜粋)。
- 服務規律等のルール作り、保護者・児童への周知・啓発
- 児童等が相談を行いやすくするための措置(相談体制等)
- 特定性犯罪前科の有無の確認(日本版DBS)
日本版DBSとは、子どもに関わる仕事をする人の性犯罪歴を確認する仕組みのことです。
受け皿団体は「学校と同じ基準」を求められる可能性
スポーツクラブにとって認定は任意です。しかし、部活動地域展開の受け皿団体を考えている場合は話が変わります。学校側からの要望等により、学校と同様の基準で対策することが求められる可能性があるのです。
あわせて押さえておきたいのが認定地域クラブ活動指導者制度です。令和7年12月の新ガイドラインで創設された国の登録制度で、受け皿団体の指導者選任ではこの制度の活用検討も論点になります。「部活動地域展開 ガイドライン」で検索すると市町村向けの認定制度要綱(ひな型)が確認できます。
今からできる準備4つ
- 服務規律・倫理規程の整備——暴力禁止・ハラスメント禁止・選手との適切な関係・SNS利用などを文書化する(倫理規程の整備実務はこちら)
- 相談体制の明文化——子どもや保護者が「誰に・どうやって」相談できるかを決めて周知する
- 指導者名簿の整備——誰がいつからどの教室を担当しているかを記録しておく(DBS確認の前提になる)
- 制度情報の定点観測——こども家庭庁の公式ページで施行ガイドラインの更新を確認する
部活動地域展開の制度動向は部活動地域展開ナビで都道府県別に整理されています。受け皿を検討している団体はあわせて確認してください。
よくある誤解
「認定を受けなければDBS確認はできない」——その通りです。性犯罪歴の照会は認定事業者にのみ認められる仕組みのため、認定を受けない団体が独自に前科を調べることはできません(個人情報の観点からむしろ危険です)。だからこそ、認定の枠外でもできる服務規律・相談体制・名簿整備を先に固めることが現実的な打ち手になります。
「施行までまだ時間がある」——規程づくりと周知には数ヶ月かかります。年度替わりの総会で規約改定を諮ることを考えると、逆算で動き始めるのは今です。
出典
編集後記
「任意だからやらなくていい」ではなく「任意のうちに整えた団体が選ばれる」と考えるべき局面です。特に受け皿候補として自治体や学校と話す予定がある団体は、この法律への対応方針を聞かれる前に準備しておきましょう。
— 地域スポーツ運営ナビ 編集部