毎年きちんと決算報告を作って総会で承認をもらっている。でも正直、その数字が何を意味しているかは分かっていない——多くのクラブ関係者が抱える本音ではないでしょうか。決算書が読めると、自分のクラブだけでなく「なぜあのクラブがうまくいっているのか」まで見えてきます。基礎から整理しましょう。なお、これはNPO法人だけでなく任意団体の総合型クラブにも必須の知識です。
クラブの決算書は「2つの書類」でできている
クラブの財政状況を表す代表的な書類は2つです(このほか財産目録もあります)。
- 活動計算書(=損益計算書 / P/L):4月1日〜3月31日の1年間で、お金がどれだけ増えたか減ったかを示す
- 貸借対照表(B/S):3月31日というある時点で、今なにを持っているかを示す
NPO法人は損益を目的にしないため「損益計算書」ではなく活動計算書という名前を使います。この2つを合わせると、クラブの実態が大まかに把握できます。
活動計算書の読み方(1年間の損益)
活動計算書は3つのブロックでできています。
- 経常収益:1年間の収入(会費・参加料・寄付金・補助金など)
- 経常費用(事業費):教室やイベントでかかった経費(指導者謝金・会場費・チラシ代など)
- 経常費用(管理費):教室の有無に関わらずかかる経費(事務局人件費・家賃・総会費・HP代など)
そして「経常収益 −(事業費+管理費)」の結果が正味財産の増減です。ここがプラスなら黒字、マイナスなら赤字。「経常=一定期間の」「正味=実際の」と覚えると読みやすくなります。決算報告書では「当期正味財産増減額」を見れば、その年が黒字だったか赤字だったかが一目で分かります。
貸借対照表の読み方(今の財産)
貸借対照表は3月31日時点のスナップショットで、3つの部でできています。
- 資産の部:クラブが持っているもの(現金・クラブハウス・什器備品・未収金など)
- 負債の部:クラブが支払う必要のあるもの(預り金・未払金など)
- 正味財産の部:資産から負債を引いた、クラブの正味の財産
ここで大事なのが「流動」と「固定」の違いです。
- 流動=1年以内に現金化できる/支払う(預金、翌月払いの謝金など)
- 固定=現金化・支払いに1年以上かかる(不動産、長期借入金など)
2つを合わせると「赤字でも潰れない理由」が分かる
2つの書類を並べると、単年の数字だけでは見えない実態がつかめます。たとえばあるクラブは活動計算書では大きな赤字なのに存続していました。貸借対照表を見ると多額の未払金があり、「指定管理を受けていて施設管理費が翌月払いになっている」ためだと読み取れます。つまり赤字=即危険ではないことが、2つを合わせて初めて分かるのです。
読めるようになったら次のステップへ
基本の読み方が分かったら、次は数字を使った経営判断です。
- 流動比率でクラブの支払能力を診断する(貸借対照表の応用)
- 教室ごとの損益分岐を管理費の按分で正しく出す(活動計算書の応用)
- なぜ税理士任せにせず自分で読む必要があるのか
クラブ(アシスタント)マネジャーは、指導者と違って地域住民から感謝される場面が多くありません。財務諸表はマネジャーの成績表でもあります。数字が良かった年は、うんと自分をほめてあげてください。
編集後記
決算書は「作って承認をもらうもの」で止まりがちですが、本当の価値はそこから自分たちの状態を読み取ることにあります。まずは今年の決算報告を手元に開いて、「当期正味財産増減額はいくら?」から確かめてみてください。
— 地域スポーツ運営ナビ 編集部