チラシを1万枚配って反応があるのは0.01〜0.3%(30人以下)。「配って終わり」の集客は極めて効率が悪いのが実情です。反応率を上げるには「誰にでも刺さる」を目指すのではなく、「狙った特定層」に届く設計が必須。そのための古典的フレームワークがSTP理論です。
STPとは何か
| ステップ | 意味 | やること |
|---|---|---|
| S: Segmentation | 分ける | 地域にどのような人が住んでいるか整理 |
| T: Targeting | 絞る | どの層を狙いたいかを決める |
| P: Positioning | 選ばれる理由 | 他サービスと被らない立ち位置を作る |
この3ステップで「どのような地域住民に情報を届けるか」を決めていきます。民間企業のターゲティングでも標準的に使われる手法です。
S: Segmentation(分ける)
地域にはどのような人が住んでいるかを整理します。2軸のマトリクスで分けるのがコツです。
分類の軸の例
- 年齢 × 運動習慣
- 子どもの有無 × 性別
- 家族構成 × 運動習慣
- 部活経験の有無 × 職業
例:「年齢 × 運動習慣」で分類すると:
| 運動習慣なし | 運動習慣あり | |
|---|---|---|
| 若い世代 | 家でNetflixを見ている社会人 | 新しい運動に積極的な社会人 |
| 高齢者 | 外に出るキッカケが少ない高齢者 | 目標のある高齢者 |
T: Targeting(絞る)
分類した層の中から「特に狙いたい層」を1つ(多くても2つ)に絞ります。全員は狙えません。
絞った層の人物像を書き出す
例:「外に出るキッカケが少ない高齢者」を狙う場合の人物像。
| 名前 | 佐藤のりこさん |
| 年齢・仕事 | 72歳・無職(年金暮らし) |
| 生活スタイル | 基本的には家にいて週2回買い物 |
| クラブに参加しない理由 | 知らない所に1人で行くことに抵抗がある |
| 望んでいること(ニーズ) | 誰かと一緒にお話ししたい・雑談したい |
| 現在困っていること | 足腰が弱くなってきた |
| 主な情報源 | テレビ |
| 使える媒体 | 電話・FAX |
| 主に会話する人 | 近所に住む1人娘 |
実在するモデルを想像しながら記入するのがコツ。ペンが止まった箇所は「うまく想像できていない」ので、実際に教室やプライベートで直接会った時に聞き取りを行います。
P: Positioning(選ばれる理由)
その人の頭の中にある選択肢のなかで、「うちのクラブがどこに立つか」を決めます。ポイントは「他サービスに勝つ」のではなく「他サービスとかぶらない場所に立つ」こと。勝負を挑むと価格の問題になってしまうためです。
例:佐藤のりこさん向け「足腰改善教室」
「足腰が弱くなってきた」佐藤さんの頭に浮かぶ選択肢:
| 選択肢 | 特徴 |
|---|---|
| 整形外科・接骨院 | 「治す」場所・痛くなってから行く・楽しくはない |
| 民間フィットネスジム | 「鍛える」場所・若者向け・1人で黙々と |
| 公民館事業 | 「無料の」場所・市の元気教室 |
| うちの足腰改善教室 | 「みんなで・楽しく続けられる」場所・1人でもなじめる・結果が出なくても楽しい |
佐藤さんのニーズ(足腰+おしゃべり+気軽さ)にピタッと合う「他とかぶらない居場所」に立つこと = それがそのまま「選ばれる理由」になります。
「Positioning」の作り方3ステップ
- Tで絞った層向けの教室案を複数書き出す
- その教室のライバル(想定される競合サービス)を洗い出す
- ライバルと被らない点を3つ書く(うちの独自性)
例:足腰改善教室のPositioning
- 1人でもなじめる
- 結果が出なくても楽しい
- 習慣が身に付く
STPの効果
いきなりチラシを配布するのではなく、S→T→Pの手順で事前準備を行うと反応率が0.3%から数%〜10%以上に跳ね上がるケースがあります。「誰にでも刺さる」は「誰にも刺さらない」と同義。特定の1人に深く刺さる設計を目指してください。
今日から始めるアクション
- 地域住民を2軸のマトリクスで分ける(Segmentation)
- 特に狙いたい層を1つ選ぶ(Targeting)
- 実在モデルを想像して人物像を10項目埋める
- その人の頭に浮かぶライバルサービスを3つ書き出す
- ライバルと被らないうちの独自性を3つ書く(Positioning)
編集後記
STPは「誰に向けたクラブか」を明確にするためのツールです。この段階で「誰に何を届けるか」が固まれば、次のチラシ設計は驚くほどスムーズに進みます。次のコラムでは「申込パターン別のチラシ設計」を実例付きで解説します。
— 地域スポーツ運営ナビ 編集部