「体操教室をやろう!」と思いついて始めたものの、気づけば会員集めに追われている——多くのクラブが、この思いつき→募集→実施→会員獲得に悩むというループを繰り返しています。原因は、立ち上げ段階で「調査・分析」と「計画」が抜けていることです。これを埋めるのが、簡易的な事業計画書です。
なぜ「事業計画書」が必要なのか
事業計画書というと大げさに聞こえますが、頭の中の「この地域が運動する人であふれたらいいな」という思いを言語化する作業だと考えてください。書くことで、次の3つが期待できます。
- 自分の考えが整理される
- 賛同者を得やすくなる(内部のスタッフ・指導者が「そういう思いだったのか」と共感する)
- 健全な団体だと外部にアピールできる
ドラッカーの5つの質問
とはいえ、いきなり項目の多い事業計画書を埋めるのは大変です。そこで経営学者ドラッカーの5つの質問を手がかりにします。ドラッカーは大企業でも小さな事業者でも、同じこの質問を投げかけたことで知られています。
- われわれの使命は何か?(なぜこのクラブをやるのか)
- われわれの顧客は誰か?(誰に喜んでほしいのか。地域住民に限らない)
- 顧客にとっての価値は何か?(その人はどこに魅力を感じて参加するのか)
- われわれの成果は何か?(何をもって「成功」と判断するのか)
- われわれの計画は何か?(いつまでに何を実行するか)
この5つに答えていくと、事業計画書はほぼ形になります。なお質問②③で「顧客が本当に求めているもの」を掘り下げる際は、ニーズとウォンツの違いを押さえておくと精度が上がります。
2つの大事なポイント
ポイント1:成果に「売上」を置かない。売上を成果にすると、売上のために活動することになってしまいます。「新規参加者数」「参加者同士の会話の量」など、使命に沿った指標を選びましょう。
ポイント2:主語は「われわれ」。ドラッカーが質問の主語を「われわれ」にしたのには意味があります。会長やマネジャー1人で考えても意味がなく、スタッフみんなで考え共有することが前提なのです。3〜4人で互いの回答を共有し、「なぜその使命に?」と良い質問を贈り合うと、計画が磨かれます。
「明日から動ける計画」を目指す
質問⑤で具体的な行動が思いつかないなら、質問①〜④のどこかにズレがある可能性が高いので見直します。大事なのは「見栄えのよい計画」ではなく「明日から動ける計画」です。飾る必要はありません。作った計画書は、実現の有無にかかわらず蓄積することでクラブの資産になります。年間の実行計画に落とす段階は年間事業計画の作り方も参考にしてください。
編集後記
5つの質問は一度答えて終わりではなく、行ったり来たりしながら何度も考えるものです。まずは1人で書いてみて、次のミーティングでスタッフと共有する。それだけで、クラブの向かう先がぐっと明確になります。
— 地域スポーツ運営ナビ 編集部