「定款や会則の見直しは時間がある時に…」と後回しにされがちですが、これはクラブ経営の観点から大きな機会損失です。定款・諸規程の整備は「トラブル防止」だけでなく、経営方針の明確化・業務効率化・心理的負担の軽減という3つの前向きな効果を生みます。
ガバナンスとコンプライアンスの違い
- ガバナンス(企業統治):組織が正しく運営される仕組みのこと。定款・会則・諸規程はこの仕組みを明記したもの
- コンプライアンス(法令遵守):上記の仕組みを守ること。社会的倫理の遵守も含む
スポーツ庁のガバナンスコードは「トラブル防止」というリスク管理の側面から強く語られてきましたが、実はクラブ経営にとってもプラスの効果があります。
効果1:クラブが進むべき方向性の明確化
クラブが大きくなるほど、地域内から様々な依頼が寄せられます。「多目的ホールの鍵管理をやってくれ」「駐車場整理を頼む」といった案件を「地域のために」と何でも受け入れると、単なる便利屋さんになりクラブ理念と乖離します。
定款が事業選定基準になる
定款第3条(NPO法人虹・杵築市)
この法人は、地域住民に対して、スポーツ・文化活動に親しむことができる環境を整え、地域の宝である子どもたちの生涯スポーツへの基盤形成や地域住民の心身の健康の保持増進、それぞれの目的に合わせた継続的なスポーツ・文化活動を提供する…(後略)
定款には「なぜクラブを立ち上げたか」「誰に何を提供するか」という地域内での役割が明記されています。見直し・見返しのプロセス自体が、事業選定の判断軸として機能します。
効果2:業務量と心理的負担の軽減
会員から「今月1回しか来ていないのに、なぜ月謝を満額払うのか?」と聞かれたとき、諸規程が整備されていないと対応するスタッフや、その瞬間の気分・考え方で対応が変わることになります。
NG対応と◎対応の違い
- △ ダメ対応:「これまでも欠席しても満額頂いているので…」(属人的・根拠が曖昧)
- ◎ 良い対応:「入会時にお渡しした申込書の入会規約 第6条をご覧ください。当クラブは非営利組織で、みんなで支えていく組織である旨、明記しています」
諸規程・対応マニュアルを整備しておくと、誰が対応しても判断にブレがなく、解決時間も短縮されます。結果として日々の業務量と心理的負担が確実に軽減されます。
「クラブが前に進むため」の視点を持つ
「クラブで問題が起こらないように」というリスク管理の視点も重要ですが、それだけでは受け身です。「クラブが前に進んでいくために」という攻めの視点で定款・諸規程を捉え直してみてください。
今日から始めるアクション
- 現行の定款・会則を印刷して手元に置く
- 「うちのクラブの目的は何か?」を1行で書き出す
- 直近1年で対応した会員からの問い合わせを3件思い出す
- それぞれに対して「諸規程に根拠があったか」を確認する
次のステップは「何が足りない?」を発見する4ステップのコラムをご覧ください。具体的なシミュレーション方法を解説しています。
編集後記
定款・諸規程は「クラブを守る書類」であると同時に「クラブを前に進めるツール」でもあります。専門家に依頼する前に、まずは自分たちで見返してみることから始めてください。
— 地域スポーツ運営ナビ 編集部